世界経済、減速と高インフレの二重苦 主要中銀、政策転換迫られるか

経済

2025年末、世界経済は、コロナ禍からの回復過程で顕在化した構造的な高インフレと、主要国の金融引き締め長期化による景気減速という、二重の苦境に直面している。各国中央銀行は、物価安定と経済成長維持という相反する目標の間で極めて難しい政策判断を迫られており、その動向は来年以降の世界経済の行方を大きく左右するだろう。

高止まりするインフレと迫る景気後退の影

世界の主要国では、2020年代前半に始まった高インフレが、エネルギー価格や食料品価格の高止まり、労働市場の逼迫、サプライチェーンの構造変化といった要因により、依然として根強く残存している。米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は、インフレ抑制のため異例の金融引き締めを継続してきたが、その副作用として欧米経済には明らかな減速傾向がみられる。特に、高い政策金利が設備投資や住宅投資を抑制し、企業業績の悪化、雇用環境の悪化へとつながる懸念が強まっている。

一方で、新興国経済も先進国の景気減速とドル高の圧力に晒されており、世界貿易の伸び悩みも顕著だ。国際通貨基金(IMF)は、来年の世界経済成長率予測を下方修正する可能性を示唆しており、一部ではスタグフレーションへの懸念すら囁かれ始めている。

主要中銀の苦悩:タカ派維持か、緩和転換か

こうした状況下で、主要中央銀行の政策運営は極めて困難を極める。FRBは来年以降、インフレ目標達成と景気後退回避の間で、これまでのタカ派的スタンスを維持できるか否か、重大な岐路に立つ。市場では、FRBが年後半にも利下げに転じる可能性が取り沙汰される一方、根強いインフレ圧力を鑑みれば、性急な政策転換はインフレ再燃のリスクを孕む。ECBも同様に、ユーロ圏内での景気格差とインフレ率のばらつきに直面し、統一的な金融政策の難しさが増している。

日本銀行は、他の主要中銀にやや遅れて金融政策の正常化を進めてきたが、世界経済の減速が日本の輸出企業に与える影響や、依然として脆弱な国内物価上昇の持続性を見極める必要があり、一段の利上げや量的引き締めへの加速には慎重な姿勢を崩していない。しかし、世界的な金融緩和への揺り戻しが起きれば、日銀の政策判断にも影響を与える可能性は高い。

各国の財政政策もまた、金融政策と密接に絡み合う。景気減速を回避するための財政出動はインフレ圧力を再燃させかねず、財政規律との両立が大きな課題となる。

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国際協調の難しさと新たなパラダイム

この複合的な危機を乗り越えるためには、各国政府と中央銀行が連携し、短期的な景気刺激策と中長期的な構造改革、サプライチェーン強靭化といった多角的なアプローチを統合する必要がある。しかし、地政学的な緊張の高まりや、国内政治の分断が続く中で、国際協調の実現は容易ではない。世界経済は今、新たなパラダイムシフトの淵に立たされていると言えよう。

編集後記

世界経済が直面するこの複雑な課題は、過去の経済危機とは異なる性質を持つ。単純な金融引き締めや緩和だけでは解決できない構造的な要因が根底にある。我々はこの「新たな常態(ニューノーマル)」を理解し、その中でいかに持続可能な成長を実現していくか、問い続けなければならない。

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